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ミニモーク。すごいカタチだ。

僕は、中学まではクルマ「だけ」が大好きだったのだが、高校生のころになると、クルマよりもバイクのほうにどんどん興味が移ってしまっていた。

高校を卒業して運転免許をとった頃にはすでにバイクのことしか頭にはなく、クルマへの興味はほとんど失っていた。
そんなわけで、大学時代の僕はクルマも買わず、バイクだけを相棒として過ごした。
いや、クルマなんて、仮に欲しくてもお金のなかった僕に買えるわけはなかったんだけど。

時代はバブル真っ只中。周囲の裕福そうな学生たちがパジェロやらセリカやらシルビアやら、クルマでブイブイいわせている姿を見ても、さほどうらやましくも思わなかった。
バイクがあれば、それで十分だった。
いくら速いクルマでも、バイクが与えてくれるあの強烈な加速や興奮には全然かなわないじゃないか。
僕は、そんなふうに考えるようになっていた。
あれだけ恋焦がれたスカイライン(当時はちょうどR32 GT-Rが現役だったころだ)やポルシェにも、すっかり興味はなくなっていた。

やがて就職することになり、ついに僕にもクルマを手に入れる必要が生じた。

さて、どんなクルマがいいだろう。
はじめて、自分のクルマを手に入れる。考え出すと、やっぱり胸は踊った。
だけど、バイクの楽しみを知ってしまった以上、速いクルマには特に興味はない。
小さくて、気軽に使えて、ちょっと変わったクルマがいい。

残念ながら、国産車にはいまいちピンとくる車種はなかった。
ミニ、シトロエン2CV、ルノー4、ビートル、パンダあたりが候補にあがった。
そんななかでも、写真のクルマ、ミニモークには心を鷲掴みにされた。

顔つきにあのミニの面影をかすかに残しつつも、まるで軍用車のような開けっぴろげなボディ。
凄まじくカッコイイ。
こんなクルマでいろんな場所に出かけたら、さぞかし楽しいだろう。
当時はまだ新車で買えた。
かなり本気で買おうと考えていたのだけれど、すんでのところで思いとどまった。
通勤を始めとした実用性を考えるとさすがにちょっと厳しいだろうと思ってしまったのだ。
まったく、いま思えば情けない。

といって、(モークじゃない)ミニやビートルだとカスタムに際限なくお金を使ってしまいそうだし、フランス的なテイストは若干好みと違うし・・・、ということで、僕は最初のクルマとして、半ば消去法的に(?)フィアットパンダを選ぶことになる。
結果的にそれは大正解だったけれど。

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2012年、ニースで撮影。

あのときもしモークを買っていたら、その後僕はいったいどんなカーライフを送っていたんだろう。

(つづく)