老舗の眼鏡屋さんに行ってみた。
郡山にある、「正圓堂眼鏡店」。
創業1900年という、老舗中の老舗だ。
以前えい坊が新しい眼鏡を探していたころ、僕が大好きな世界的工業デザイナー、奥山清行氏がデザインを手がけているブランド、「KEN OKUYAMA EYES」の眼鏡をチラッと紹介してみたところ、彼女が興味を示して一度見てみたいということになり、今回訪ねてみたしだい。
奥山氏は、エンツォ・フェラーリのデザインを担当したことで有名だが、僕と同じ山形生まれ、そして高校の大先輩でもあるということもあり、個人的にとても尊敬している方だ。
・・・といっても、もちろん面識などあるわけもなく一方的に尊敬しているだけだけれど。
ちなみに僕自身は(幼い頃から不勉強だったせいもあり)、視力だけは問題なく生きてきた。
そのため、生まれてこのかたこれまでのところ眼鏡にはまったく縁がない。
縁がないため、眼鏡に関してはさっぱり何もわからない。
さっぱりわからないのだが、お店のご主人の説明を聞きながら手にとってみると、「モノ」としての作りのよさや、その工程の隅々に隠された「職人技」を感じることができる。
老舗だけあって、ショーケースにはさりげなく貴重な昔の眼鏡もたくさん。
三代目のご主人と奥様。
眼鏡の話はもちろんのこと、奥山氏のお話やクルマ、趣味の話ですっかり盛りあがってしまい、なんと3時間も居座ってしまった。
結局この日は何も買わずに帰ってきてしまったのだけど、すばらしく楽しく素敵なひとときを過ごさせていただいた。
2002年のmonoマガジンを見せていただいた。
この表紙に写っている眼鏡は、ぜんぶこのお店の品物だったそうだ。
このページに掲載されているものもみんな、このお店のものだそう。
このうちのいくつかは、実際に手にとって触れさせていただいた。
今日日、眼鏡に限らずこういったお店はほんとうに少なくなってしまった。
だけど、こういうお店でないとなかなか気づけないことがある。
「モノを買う」という行為、もしくは「モノ」の価値や魅力。
それは決して「モノ」そのものにはとどまらない。
作り手、売り手、使い手それぞれの物語。
それらも含めて、「モノ」の存在価値というものは決まるものなのかもしれない。
そんなことを思った一日だった。
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