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今年も、庭の桔梗が咲いた。

以前も同じようなことを書いた気がするけれど、桔梗といえば、片岡義男の小説「桔梗が咲いた」をいつも思い出す。

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片岡義男といえば、なんといっても、「彼のオートバイ、彼女の島」を代表とする一連のオートバイ小説だ。
「ボビーに首ったけ」「幸せは白いTシャツ」、「長距離ライダーの憂鬱」・・・。
若かりし頃の僕は、それら片岡義男の作品群に、いったいどれだけ影響されたか知らない。
彼の小説ほど、「オートバイ乗り」の心情を鮮やかに描き出しているものはないのではないかと思う。
いまでもたまに読み返しては、若かりし頃のあの昂った気持ちを思い出したりしている。

そして、そんな気持ちをさらに増幅させてくれるような一台が、新たに我が家へ仲間入りした。

カワサキ250TR、2013年型。


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半月ほどまえのとある休日、えい坊が急に「GWに見かけたバイク、かっこよかったねぇ」なんて言って、僕に写真を見せてきた。
その、GWに見かけたバイクというのが、カワサキ250TRだった。
そしてその日、もし、そのバイクがあったらちょっと眺めてみたいね、なんていう軽い気持ちで、近くのバイク屋さんへ二人で寄ってみることにした。

バイク屋さんへ入ってみたら、偶然、同じバイクが売りに出ていた。
カラーリングまで、以前見かけたものといっしょだ。
まさか、置いてあるとは思わなかった。

走行、わずか2,500km。程度もすこぶるよい。
これは、なかなかの出物だ。

一週間考えて、手に入れることにした。
こういう「出会い」には、きっと、何かあるはずだ。

展示されていたときは、なんだかうるさそうなマフラーと派手な赤色のリアサスがついていたけれど、どちらも純正品に戻して納車してもらった。
前後のフェンダーもアルミ製のものに換えてあったけれど、これは似合うのでOK。そのままにしてもらった。


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250cc、単気筒。
これ以上ないくらい、シンプルでオートバイらしいオートバイ。
GSの対極をなすような一台だ。
最終年式なので、キャブレターではなくインジェクションなのがちょっとだけ残念だけど、それ以外は何も過不足はない。
こういった軽量クラスのバイクは、得てして保管状態が悪くサビサビなものも多い中、サビ一つない新車同様のコンディション。もしかしたら、きちんと屋内保管されていたのかもしれない。

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さしあたって、納車早々、さっそくウインカーを換えてみることにした。
いまはバラバラ状態にあるゼファー1100に装着していたZ2用のウインカーを、ガレージの奥底から引っ張り出してくる。

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250TRの純正ウインカーと比較すると、やたらと巨大なサイズだ。
メッキに浮いてきていたサビを落として、取付にかかる。

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250TRのヘッドライトケースは樹脂製だった。
軽くてサビないのはいいけれど、質感としてはやっぱりイマイチかな。

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前後とも取り替え完了。リアキャリアも撤去した。
無骨なテールランプに大きなウインカーの組み合わせは、いい感じで70年代テイスト。

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マフラーも部分的に耐熱塗料で再塗装して少しキレイにしてあげた。

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往年のカワサキを彷彿とさせる、いい佇まいだ。

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うっとり。

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なんだろう、このワクワク感。

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少し走ってみた。

当然ながら、1150GSに比べると、ものすごく、遅い。
だけど、意外と勇ましい排気音や身体に感じる風圧のせいか、絶対速度は遅いにもかかわらず、スピード感はある。
お、結構飛ばせるじゃない、なんて思ってスピードメーターに目をやると、60km/hくらいだったりする。上り坂になると、排気音はさらに勇ましくなるいっぽう、さっぱり加速しなくなる。
タコメーターすらついてないので、回転数もよくわからない。
だけど、不思議なことに、そんなことは全く気にならない。

そもそも、飛ばす気持ちにならないオートバイだ。
ゆっくり、トコトコ走るのがたまらなく楽しいのだ。
小気味よい排気音を聴きながら、4速、40km/hくらいで古い集落沿いを走ったら、なんだかとてつもなく幸せで愛おしい気持ちになってきた。

オートバイという乗りものの魅力の原点を、何の飾り気もなく、素のままに味わう気分。
馬力がなくても、大きくなくても、オートバイは楽しい。
そんなあたりまえのことに、あらためて気づく。

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むしろ、馬力がなくて、小さいからこそ楽しめる世界もある。

ほんとうに奥が深い、オートバイという乗りもの。

この一台とも、ずっと永くつきあえそうだ。