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完成予想図とそっくりになってきた。(あたりまえ?)

きょうは、ちょっとこれまでの家づくりを振り返ってつらつらと。

最初は、まぁ当然のことながら、「住宅」に関する知識など、まったく、なかった。
でも、一年まえ、ひょんなことから自分の家を建てることに決まってしまった。
これは、オオゴトだ。
家かぁ・・・。借金かぁ・・・。この地に一生住むことになるのかなぁ・・・。
どちらかというと、ネガティブな気持ちだった。
またひとつ、人生のレールがある決まった方向に限定されていく気がして、それを避けたい気持ちがどうしても拭えなかった。
しばらくのうちは、何はともあれ、思う存分バイクいじりができるガレージが欲しいなぁ、他には何もいらないなぁ・・・。などと、けっこうお気楽に考えていた。"Garage Life"なんていう雑誌を買ってきてウットリ眺めたりしていた。
それで、家を建てると決めた人々がまず大抵最初に行くであろう、「○○ハウジングパーク」のようなところに何度か行ってみた。
すんばらしくでっかい家の中には、これでもかというほどの絢爛豪華(そうに見える)設備の数々、営業マン&ウーマンの巧みな誘惑・・・。
ウーン、夢のようだなあ・・・・。いーなー、と思いながら眺めていた。
「当社の躯体は、独自の△○工法を採用しておりまして、他社さんに較べて・・・」
「建てるなら早いほうがいいですよ!ご予算なんかはもうお考えで?失礼ですが年収はいかほどでしょうか?35年ローンですと、えー、(チャチャッと電卓をはじき)、月々このくらいの支払計画がよろしいかと・・・。ええもう、なんでもご相談ください!ウチなら坪単価○円で建っちゃいますよ!」
「いまキャンペーン期間中でして、契約していただければ特別サービスとしてなんと!・・・」
「ガレージ欲しいんですけど・・・。」とおそるおそる言ってみると、
「ガレージですかぁ!いいですねぇ!もちろんできますよ!ガレージをつけるとですね、法律上は・・・・・でして、税制上も・・・になります。お望みの広さですと、えー、標準タイプではなく自由設計タイプになりますので、そうですねぇ、ご予算的にはだいたい・・・・くらいになりますかねぇ・・・。ええ、もちろんプランをご提案できますよ。もう、ウチの設計のほうにチャチャッとやらせますから来週にはご用意できますんで、ぜひ見ていただいてそれからまた詳しく・・・」
もう昔の話なので、だいぶ脚色されてるだろうけど、まぁこんな内容のやりとりを毎回繰り返していた。
でも、どれもなんか、ひっかかる・・・。響いてこないんだなぁ。
どこのメーカーがいいのか、ちっともわからんし。
リッパなカタログを見ても、なんかピンとこない。どーせ、いいことしか書いてないんだろうし・・・。
家に帰れば、さっそくダイレクトメールの山・・・。偽名にしときゃよかった・・・。

だいたい、何が引っかかるかって、「住宅」を手に入れたいというのに、建てたのち未来永劫自分が死ぬまでそこで営むことになる「暮らし」の話がさっぱりできないのはなぜだ!
資金プラン?そりゃあ大事だが、ごくフツーのサラリーマンだ。
もちろん上限予算はばっちり決まっている、それ以上の話はまだ不要。
オプション?標準?クルマじゃないんだから・・・。
便利な豪華設備?いいよ。そんなのあとからなんぼでもつけかえられる。
「標準的な」「一般的には」「通常は」・・・ええい、うるさい!
ヒトのウチなんぞ、どうでもよい!自分たちに合った家がほしいんだ。
家って、クルマや家電を買うのとは、ちょっと違うんじゃない?
なぁんてウジウジ考えつつも、なんだかよくわからなくなってきた。
いったい、おれは何を求めてるんだ?おれが欲しい家って、どんなんだ?
さっぱりわからなくなってきて、ユウウツになってきた。
いっぽう、えい坊は、意外と冷静沈着だ。
ヘンに浮き足立つこともなく、ある意味、冷めている・・・。
ますます、これは気合を入れて取り組むべき、いや、本気になって考えるに値するものだという気持ちが次第に膨らんできた。

勉強しなければ!
ということで、片っ端から住宅関連の雑誌を眺め、読んでみた。
そうすると、だいたいの系統がわかってきた。家の建て方には、大きく分けて三通りあるということ。ハウスメーカー、工務店、それにいわゆる建築家に依頼する方法。ほぉ、なるほど。
それぞれにメリット、デメリットがあることもわかった。
住宅雑誌にもいろんな毛色があり、ハウスメーカー系のものをどーんと紹介しているものから「こんな家、どーやって生活すんだ?まるで芸術作品だなぁ」といった感じのスーパーモダン建築家住宅系のなんだか鼻につく雑誌まで、いろんなジャンルがあった。それぞれに面白かった。

雑誌だけではなく、有名な住宅建築家の方々の本も読んでみた。
宮脇檀氏や中村好文氏などの本をひたすら読みまくった。ほとんど読破した。
目から鱗だった。
住宅ハウツー雑誌を買うのはやめた。
ヒステリックな断定口調の「こんな家ダメ、こういう家じゃなきゃダメ!」系の本も読まないことにした。
時流や流行は、追わないことにした。(もともと、あまり追えてないが・・・。)
本質的なものを大事にしよう!と決めた。

で、いまに至るわけだ。
結局、やはり建築家に依頼する方法をとった。
最初に見せてもらった計画案に、見れば見るほど惹きこまれていった。
「頼むならこのひとだ」と思った。
契約のとき、「長いおつきあいになりますが、よろしくお願いします。」と、ぐっと握手された。
「信用できる」と直感した。
それからはほぼ毎週のように打ち合わせ。
毎回、とても楽しかった。家づくりって、なんて楽しいんだろう!
いろいろかなり思い切ったことも取り入れた。
薪ストーブだけにたよる暖房、板張りの外壁、極力仕切りをなくした空間と間取りなどなど・・・。
もちろん、それに伴う不便や苦労も多々あるはず。
自分では一生懸命考えたつもりでも、所詮は素人だ。カンペキにできるわけがない。
お願いしている建築家、daiさんや大工さんたちは、そんな素人の自分たちの漠然とした希望や不安を汲み取りながら具現化し、とてもすばらしい仕事をしてくれていると思うけど、彼らとて完全無欠ではありえない。
でも、それを差し引いても、いい家ができつつあると思う。いまのところは大成功だ。
えい坊と二人、大いに満足している。
決して奇をてらったデザインを追うことなく、かといって陳腐にならない凛とした佇まい、自然な暮らしが想像できる暖かな内部空間、暮らしの変化に対する将来的な自由度の高さ。
失敗したところも、間違ったところも、そんなこともひっくるめて、それらをも楽しみながら永く暮らせる家であってほしい。

そして、いつの日か、じぃさんばぁさんになっても、「この家で暮らしてこれてよかったねぇ・・・」と、人間同様に年季の入ったウッドデッキで日向ぼっこしながら笑っていられれば、最高だ。