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アメリカンなワールドですっかりロカビリーなテイストになったぼくは、ロッケンロールな気分で次の展示スペースへ。

と、こんどは一転して辺り一面、キナ臭い世界が繰り広げられているではないか!

天井には戦闘機がところ狭しとぶら下げられ、マネキン戦士たちがそこらじゅうで銃を構えている。

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正直、ばくはこういったミリタリー関連に関する知識は全くといっていいほど持っていない。
なので、いったいそれらがどこの国のものなのかすらよくわからない。
マネキン戦士たちが意外に穏やかな表情をしているせいもあってか、なんだか不思議とあまり暗い気持ちにならない。
不謹慎な表現かもしれないが、昔、子供のころによく作ったプラモデルのジオラマを思い浮かべてしまった。現実感が湧いてこないのだ。

もちろん、これらの展示品はすべてホンモノである。かつては、実際の戦場で血で血を洗うような戦闘に使われていた兵器なのだ。

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つくづく、自分は平和ボケしているな、と半ばあきれながら見てまわる。
なにやら、外にも展示品があるらしい。ドアを開け、外に出てみることにする。

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そこには、見渡す限り、戦車が並んでいた。
ドイツのもの、アメリカのものなど、かつての敵味方関係なく、ずらっと、並んでいた。
戦車というものを間近でみたのは、生まれて初めてだ。
ここで初めて、ぼくは戦慄を覚えた。
言いようのない恐怖感が襲ってきた。
無論、これらの戦車たちはすでに動かない。しかし、この威圧感はなんだ。
砲身がいっせいに自分に向けられている。発射されるはずはないのに、とてつもなく怖い。
破壊するため、殺戮するためだけを目的として作られたものというのは、これほどまでに冷酷な恐ろしさを感じさせるものなのか・・・。

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殺戮兵器の間を、無邪気な家族連れが歩く・・・。
ほんの数十年まえ、これらの戦車たちはその牙をむいてあらゆるところを蹂躙してまわっていたのだ。そして、現在でもそういう状況にある場所が同じ地球上に存在しているのだ。
いったい、なんということなのだろう・・・。

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一部分は切り取られ、装甲の厚さを物語る。赤く塗られた切断面が妙に生々しい。

ぼくは、頭ごなしに平和主義を唱えるつもりはない。どころか、戦争の是非に関して語る資格すらないほど不勉強だ。しかし、こういった「証拠」を見ると、やはりいやでも考えさせられる。
人類同士が戦う意味とは?そこまでして守るべきものとは・・・?

この博物館自体は、こういった戦争記録品を展示してはいるものの、声高な政治的メッセージや解説はほとんどなにもない。あっけらかんと、そこにおいてあるだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。
それを見て何を感じるかは、見る人しだいだよ、ということなのだろう。

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再び中へ入ると、海から引き上げられた戦闘機がそのまま展示してあった。
背後のパイプオルガンが、「運命」を奏でていた。

(つづく)