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13:30、フロム港到着。

ここから、いよいよ楽しみにしていたフロム鉄道に乗る。
我々の乗る予定の電車の発車時刻は16:05。
まだ2時間半ほど時間がある。

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旧駅舎を利用した博物館を眺め・・・、

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軽く食事をとったりしてのんびりと過ごす。
テーブルが一緒だったドイツ人のおじさん二人組は、二週間かけて船でフィヨルドめぐりしているのだと言っていた。
いつも思うが、休暇にかけられる絶対時間が全く違うなぁ・・・。

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さて、フロム鉄道である。
僕は鉄道に関してはそれほど興味がないのだが、それでもこの電車にはかなり心惹かれるものがある。
ダークグリーンの車体が、周囲の景観によく似合っている。

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手元のパンフレットによると、このフロム鉄道、通常の軌道を走る鉄道では、なんと世界一の勾配を誇るのだそうだ。
ここフロムから終点のMyrdal(ミュルダール)までの全長20kmを、一時間かけて走る。
ということは、平均時速20km/h。じつにのんびりだ。

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それもそのはず、その行程の8割までが、55/1000の勾配、すなわち1mで18cmの高低差を持っているのだ。
鉄道マニアなら、さぞかし「おおおっ!」と驚嘆するのだろうが、いまいちピンとこない・・・。
とにかく、フツウの線路を走る鉄道のなかでは、世界一の急坂を登るということなのだ。
じつにすばらしいではないか!

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1923年に建設が始まり、1940年に蒸気機関車による運転が始まった。
電化されたのは1940年である。

トンネル数は20。トンネルの合計長さは6kmだ。全長20kmだから、1/3以上がトンネル・・・。
これらのトンネルのうち、18本までがなんと手作業で開けられている。
1m掘り進むのに1ヶ月の重労働だったそうだ。

ここフロムは海抜2m、終着駅のミュルダールは海抜866mである。

さぁ、もうそろそろ、出発の時間だ。

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座席は自由席なので、みんな我れ先にとホームを走る。
どこの国でもいっしょだ・・・。ちょっとあわただしい。
ゆっくり写真を撮っている余裕がない・・・。

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身のこなしが軽いえい坊の活躍で、なんとか座席を確保。

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車内は、クラシックな雰囲気あふれる、いかにも古きよき時代の鉄道、といった趣。
いいじゃないですか!すばらしいではないですか!

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フロム駅を出た列車は、ガタゴトとゆっくり進んでゆく。

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箱庭のようにも見える、かわいらしい家々と、ダイナミックな山並み。
もうまさに、「世界の車窓から」そのものであります。

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いやぁ、いいなあ。
クルマやオートバイとはまたまったく違うこの新鮮な感じ。
鉄道の旅も、いいものだなぁ!

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列車は、手掘りのトンネルをいくつもくぐっていく。

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周囲の山々からは、幾すじもの滝が流れ落ちている。

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停車する駅は、じつにこじんまりとしてかわいらしい。

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途中、ミュルダールから走ってきた下り列車とすれ違う。

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またしばらく走ると、なにやらアナウンスが流れ、乗客たちはなにやらいっせいにざわめきだち、僕たちの座っている側と反対側の窓をいっせいに眺め始めた。

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やがて列車は停まり、乗客たちはいっせいに外へ。

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我々も、つられるように外へ出る。

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なんとそこは、巨大な滝であった。
ショッスフォッセンという滝で、列車は乗客サービスのためにここへ10分ほど停車してくれるのだ。
あいにくの雨だったが、迫力ある滝を間近で見ることができて、やはりうれしい。

突如、BGMが流れ、滝の中央に人影が・・・。
BGMに合わせ、美女が優雅な踊りを披露し、また消えていった。
美女、というのは手元の資料にそう書いてあったから便宜上、「美女」としたまでで、実際はわからなかった。
だって、豆粒くらいにしか見えなかったのだ。
うーん、これは・・・、ちょっと余計なサービスかも・・・。
「美女」もこんな雨の中、さぞかし大変だろうに。

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そんな楽しいサプライズも織りまぜながら、列車はまたのんびり進む。
終点のミュルダールまで、もうあと少しだ。

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ミュルダールに到着。
実に楽しい、あっというまの一時間だった。

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ここから、またベルゲン鉄道に乗り換えさらに一時間、今朝バスに乗り換えたVossまで戻る。
ミュルダールからVossまでの一時間は、不覚にも二人とも半分くらい寝てしまったので、あまり記憶が・・・。
だから、写真も、ない・・・。

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Voss到着。
ここで、また乗り換え。いったい、今日一日で何回乗り換えたのだろう・・・。

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Vossでは、一時間ほど待ち時間があったので、周辺を散歩。

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とあるおみやげ屋の前で。
これは、トロールという、ノルウェーに伝わる妖精だ。

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時刻は19時。今日のフィヨルドめぐりもいよいよ終盤。
19:20、ベルゲン行きの電車はVossを出発。

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一時間後、ベルゲン到着。
あいにくの天気だったけれど、とても、充実した一日だった。

(まだつづく)