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山小屋に行ってきた。

久しぶりの友人Aとの週末ツーリング。
今回の目的は、「山小屋に泊まる」ことである。
ちなみに、ドイツ語で山小屋のことを"Huette"という。
そう、ペンションの名前などによく出てくるあの「ヒュッテ」である。

土曜午後おそくに出発。天気は快晴だ。
アウトバーンは使わずに、全て「下道」で目的地を目指す。
「下道」といっても、そのほとんどは気持ちよく吹っ飛ばせる道なので、ストレスはまったくない。
まったくないどころか、もう少しゆっくり走ってもいいんじゃないの?というくらいのペースである。
パワーバンドに入れておかないと追いつけない・・・。

途中、オーストリアに入ったところのスーパーで夕飯の材料を調達し、ちょうど暗くなる頃、目的地に到着。
場所は、オーストリアはZell am Zillerという町に面した山の上である。(地図
ミュンヘンから200kmほどの距離である。

ふもとの農家でカードキーを購入し、ゲートをくぐって砂利道を2kmほどひいこら登ったところに、その山小屋はあった。
もう辺りは暗いので、どのような周辺環境なのか、どんな建物なのか、よくわからないままとりあえず荷をほどいて友人Aに誘われるまま中に入る。

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おおっ!なんとワイルドな!まさに山小屋な雰囲気たっぷり!
中央にキチンを備えたリビング、そしてそれを取り囲むように3つのベッドルームがあり、最大9名までが泊まれる。
もちろん、シャワーも完備である。

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そしてなんとなんと、リビングに鎮座ましましているのは、薪ストーブと薪オーブン!
もう、絵に描いたような山小屋である。いまにもハイジが歌いながら出てきそうだ。

この山小屋、もともとはふもとの農家が山で牛の世話をするために作られたもの。
それを、こうして借りて、仲間たちと週末の別荘がわりに使っているのだ。

友人Aは、この山小屋の「永久使用権」のようなものを持っている。
Kaprunの別荘に加え、ここまで・・・。もう、コトバもでない。

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さっそく、火おこし。
友人Aは、僕の家が薪ストーブなのを知っているので、僕に任せて楽しそうに見ている。
これは・・・、失敗できない(笑)。

それにしても、久しぶりの感覚。やっぱり、ゆらめく炎を見ていると、心がなごむ・・・。

まずは、夕飯の肉を焼くのに必要な分のおき火をつくる。
そして、それを外に持っていき、ビールを飲みながらBBQ。

もうもうとあがる煙を避けた場所で、二人で話に夢中になっていたら、あろうことか、肉が、燃えている・・・。
あわてて肉を救出するも、だいぶ、かなり、そうとう、ウェルダン・・・。
まあ、そんな失敗もいい酒の肴、である。

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ひとしきり食べた後、ちょっと散歩へ。
真っ暗な道を、歩く。

道端に、小さな教会。日本でいうお地蔵さんのようなものなのだろうか。
お賽銭(?)をあげ、ろうそくに火をともし、お願い事をする。
宗教が違っても、人種が違っても、みんな、同じだ。

冬はスキー場になる牧草地を横切ると、眼下に広がる谷を一望できる場所へ出た。
はるか遠くに、小さく町の灯が見える。
かすかな風にのって、カウベルの音が聞こえてくる。
喧騒とは無縁の、ただ、どこまでも草地が広がる、静かな静かな場所だ。
しばし、友人Aと二人、じっとそこへ立ち尽くす。

ふと空を見上げると、そこには思わず息をのむような満天の星空。
天の川が、はっきり見える。
いったい何年ぶりだろう、こんな星空を眺めたのは。

こういう場所に身をおくと、自分の存在が限りなく小さく感じられる。
いろんなことを、考える。

山小屋へ戻り、ビール片手に外へ出て、再び星空を眺める。
いろんな話をして、時間がゆっくりと過ぎてゆく。
流れ星が、いくつも横切っていく。

すばらしい週末を、ありがとう。

(後編へつづく)