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ニュルを走ったその晩。

こんなホテルに泊まったわけですよ。Koblenzという町で。
お値段もお安くお手ごろだったので。

行ってみたらレンガづくりふうな、ちょっと洒落た感じのホテルでなかなか悪くないところだったわけですよ。

で、チェックインしてM氏と二人、どっか夕飯を食べに出ようとしたわけですが、知らない町だし、クルマで出かけたら酒飲めないし、めんどいのでホテルのレストランでいっか、ということになったわけです。まあ自然な流れですね。

で、併設されているレストランに入ってみたのです。
「夕飯を・・・」と言うと、席を準備するから少々待ってくれと、こう言われたわけです。ええ、いいですとも。待ちましょう。

それで、隣のバーでビールを飲んで待っていたわけですよ。
5分経ってもまだできない、10分経っても・・・。
15分くらいでやっと、「準備が整いましたのでこちらへどうぞ」と。

テーブルにつくと、ナイフとフォークがずらっとならんでいました。
メニューがやたら薄く、見開き1ページしかなさそうな感じです。

ここで、二人は鋭く状況を察知したわけです。
もしや、ここは、男二人が気軽にメシ食ってビール飲むよーなところではないのではないか、と。

その悪い予感通り、メニューは基本的に「本日のコース」のみでございました。
わらにもすがる気持ちでサイドメニューを見るも、どれを頼んでも同じような値段に・・・。

二人とも、この時点でそうとう後悔したわけですよ。

でも、結局頼みましたよ、「本日のコース」を。
お一人さま、45ユーロの豪華コースです。宿泊代の半分以上ですよ。
もう、泣くに泣けませんよ。やぶれかぶれですよ。

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コース料理なので一品一品が順番に出てくるわけですが、そんな優雅なペースでは我々の空腹ニーズを満足できるわけがありません。
とてもハラが減っていたので、パンをムシャムシャ食べまくります。

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やっときました。まずはかぼちゃのスープ。おいしかったです。そりゃあたりまえですが。
あれ?その前になにか前菜があったような気もします。はて?スープの後でしたかな?
ハラが減っていたので写真なんぞ撮ってはおりませんし記憶にもございません。

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あれれ?シャーベットがきちゃいましたよ。もう終わりですか?
そんなわけはありませんよね?
ぼくたちはとてもおなかが空いてるんです。パンと赤ワインだけじゃ耐えられません。
早くなにか持ってきてください。お願いです。

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あぁ、やっと次がきました。メインですね。鳥肉料理ですね。
丁寧に料理の説明をしていただけるのですが、どうでもよいです。
はい、おいしかったですね。次をお願いします。

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はい、きました。またも鳥肉関連ですね。でもとてもおいしいですね。ぺろり。
やっと、ここらへんで満たされてきました。
席についてから、ここまでたどりつくのに2時間くらいだったでしょうか。じつに長い道のりでした。
とはいっても、優雅にディナーを楽しんでいらっしゃる周囲の方々に較べると、断トツのハイペースです。

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デザートがきましたよ。わぁすばらしい、なんと二つもきちゃいました。
クリィムブリュレというのでしょうか?それに、シャーベットが再び。おいちいですねぇ。

はい。もう満足でございます。おかげさまでおなかがいっぱいになりました。
M氏などは、ニュル激走の疲れからか、すでに半分気を失いかけています。

僕は、空いた皿をじっと見つめました。
どうしてこんなすばらしいコース料理をこんなふうに食べなければいけないのでしょうか?

ぜったい、間違ってますよ。
こういうのは、麗しき女性と二人きりで、オシャレな会話のキャッチボールなど楽しみつつ、じゅうぶんに時間をかけて、優雅に楽しむべきものなのですよ。

少なくとも、ハラ減った男が二人でガツガツ食べるものでは、ぜったいにないのです。
料理を出すほう食べるほう、そのどちらにとってもこれは不幸そのものなのです。

まぁ、すべて自分が悪いのですが。