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ニュルブルクリング24時間レース、詳細レポートを。

といっても、レース結果そのものは公式ページで確認できるのでここでは触れない。
そのかわり、自分で足を運んで、ウロウロと見てまわってきたことを書こうと思う。

(例によって、写真はこちらからどうぞ。)

さて。

去る5月22日、同僚Hと2人でミュンヘンを出発。前回前々回に続き、ニュルは今回で3回めだけど、北コースでのレースを観戦するのは今回が初めて。

以前、自分で北コースを走っているため、すでにその恐ろしさ(の片鱗)は身を持って経験ずみ。
いったい、みんなどんな走りを見せてくれるのだろうと、楽しみでしかたがない。

ミュンヘンからニュルまでは片道550km。なんだかんだでやっぱり5時間くらいはかかる。
アウトバーンもいたるところ工事中なので、そんなに思う存分かっ飛ばすわけにもいかないし。
夕方18:30ごろ、現地到着。

まずはさっそく隣接されているキャンプ場にテントを張る。
すでにもう、観客たちがわんさか陣取っていて、広大なキャンプ場がほぼいっぱいだ。
ぐるぐる回ってやっと一張りぶんのスペースを見つける。

ちゃちゃっとテントを張り終えて、さっそくサーキットのほうへ。
歩いて10分ほどでパドック周辺にたどり着ける場所なので、なかなか便利。

南コースのほうでは、前座イベントであるドリフトチャレンジが開催されていて、キィキィキュルキュル、白煙モウモウの派手なパフォーマンスで盛り上がっている。

グランドスタンド周辺は、現在まるごと施設を作りなおしているのだが、以前訪れたときよりもだいぶ工事が進んでいてびっくり。新しいホテルやカジノ、そこを突っ切るようにデザインされているジェットコースターなど、かなりリッパな一大モータースポーツリゾートができあがりそうだ。

パドックのほうへ足を向けると、翌日の本番を前にした各チーム、最終調整に余念がない。
もちろん、日本人ドライバーが参加するスバル、トヨタ(Gazoo racing)、FALKENなども混じっている。
ぜひ、がんばって各車完走してほしいものだ。

テキトウに夕飯をすませ、12時ごろテントに戻る。
といっても、キャンプ場のあちこちから、盛大な音楽やらロケット花火やらサイレンやらが騒々しいのなんの。
この日だけはキャンプ場のモラルもなにもあったものではない。
まぁ、なにせ「お祭り」だからね・・・。
眠れないかとちょっと心配したものの、あっさり前後不覚に。

さて、翌朝。いよいよレース本番の日。
朝目覚めると、文句なしの快晴。

シャワーを浴びて、さっそく行動開始。
レースは16:00スタート。昼間のうちは、コースの周辺をウロチョロ歩く。
北コース沿いは、もう見渡す限りテントやらキャンピングカーやらで埋め尽くされている。
なかには、こんなのどうやってこしらえたんだ!?というような、本格的「観戦お立ち台やぐら」なんかもあったりして、ほんとにみんな思い思いのスタイルで楽しんでいるようだ。
そしてもちろん、そばにはうず高く積み上げられたビール瓶の山が。
今回は「地元密着型観戦」をテーマとしているので、我々も当然のことながらソーセージとビール片手に散歩気分でコース沿いを歩く。

北コースの序盤、Hatzenbachのあたりを歩いていたら、荷台を屋台に改造した大型トラック(?)が、出場選手たちを乗せてゆっくり走ってきた。手を振る沿道の観客たちに応えながら、ゆっくり進んでいく。
このほかにも、30台くらいのAudi R8大集団が隊列を組んでデモ走行したり、VIPたち(?)を乗せたバスが走ってきたり、いよいよ盛り上がってくる。

15時ごろ、パドック方面へ移動すると、スターティンググリッドが開放されていたのでとりあえず飛び込んでみる。
観客だらけでもみくちゃになりつつも、スタート前の車両やドライバーたちを間近で眺められて大興奮。

そしてレーススタート。
最初のうちは、ホームストレート付近や第一コーナー周辺で観戦。
タイムを計ってみると、優勝候補のManthey Racingの911などの速いクルマは、だいたい10分前後で一周してくる。
この24時間レースは、南コースと北コースをつなげて行われるので、一周は約25kmほどになる。
単純計算でも平均150km/h以上で走ってくるわけだ。おそろしや・・・。
実際に見ても、想像以上に速い。どうしてあんな狭くてブラインドだらけのコースをあんな勢いで走れるのだろう・・・。しかも、速いクルマと遅いクルマが200台もごちゃまぜに走るような状況で・・・。
まったく尊敬するほかない。

会場周辺では、レースの状況を逐一知らせるラジオ放送があったようだが、ラジオ持ってないし、仮に持っていたとしても、悲しいかな理解できないので、レースが始まってしばらくすると、すでにもう順位はよくわからなくなってくる。
南コースのほうには、10位までの状況を知らせる大きな表示板があるのだが、北コース方面にいるともう完全にわからない・・・。

やがて日は落ち、サーキットにはだんだんと暗闇が訪れる。
各車、強力なランプ類を装着し、暗闇を切り裂いていく。
こんな、暗闇の中の戦いを見ることができるのも、このレースの大きな楽しみ。

23時ごろ、会場沿いのレストランで夕飯をとり、その後、再び観戦。
こんどは、シャトルバスを使って、反対側のEx-Muehleまで足を伸ばす。
こちらも大盛況。無数の観客が寝るのも忘れてレースを楽しんでいる。
このEx-Muehleも、ここニュルの興奮観戦ポイントである。
Adenauという小さな町をかすめる場所だ。
ここでも、大迫力の走りを思う存分堪能。
強烈な下りから左コーナーを抜け、そしてまるで絶壁のようにもみえる急坂を駆け上がっていくこのポイントを、各車、暗闇の中、爆音とともに駆け抜けていく。その速さといったら・・・。

Manthey911、アルピナB6、Audi R8・・・、すごいー!
インプレッサ、FALKEN Z、レクサス LF-Aもがんばっている。
ドライバーの顔は全く見えないので、誰がステアリングを握っているのか判別はできないが、きっとあのMorizo氏も
奮闘していることだろう。

そんなこんなで、この夜テントに戻ったのは2時くらいだっただろうか?いや、3時だったか?あまり記憶がない。
夜通し聞こえる勇ましいエギゾーストノートを子守唄にしつつ、この日もあっさり熟睡。

そして3日めの朝。
テントを撤収し、荷物をクルマにつめこんで、まずは歩いていけるすぐそばの南コースへ。
おぉ、がんばってるがんばってる!!
めぼしい車両はほとんど脱落していないようだ。
この時点で総合トップはNo.99 Audi R8。二位にNo.1 Manthey 911。三位もNo.2 Manthey 911。
Audi R8と911の一騎打ちのようだ。さて、軍配はどちらに?
よくよく見ると、やはりダメージを負っている車両が相当数いる。
はずれかけたバンパー、ひしゃげたフェンダー・・・。それらの痛々しい姿が、このレースの過酷さを雄弁に物語っている。
一夜明けて、どのくらいの車両が脱落したのだろうか。

あらかた状況を確認したのち、クルマに乗り込みキャンプ場を出る。
Ex-muehleにもう一度立ち寄り、その後、Bruennchen(17km地点)あたりで観戦し、ゴールを待たないまま帰途についたのだった。
ほんとうは、もちろん16:00のゴールまで見届けたかったのであるが・・・。

「世界最大の草レース」という異名を持つこのレースを、現地の人たちと同じようなスタイルで楽しむことができて、ほんとうに大満足の観戦ツアーとなった。