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両親をドイツに招待してみた。

父母ともに、70歳にして初の海外旅行。
文字通り、右も左もまったくわからないうえ、団体ツアーでもない。
彼らにとっては、山形の片田舎から、無事にドイツまで辿りつけるかが、まず心配で仕方なかったに違いない。

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8/31、ミュンヘン空港に無事到着。
その晩は、そのままミュンヘンのホテルで一泊し、翌日は軽くミュンヘン市内観光。

二人とも、まだ何がなんだかわからないようすだ。無理もない。
あいにくパッとしない空模様だけど、なんとか本降りにはならずに済む。

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ダッハウ強制収容所を見学し、Stuttgartへ。

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Stuttgart初日は、Porsche Museumへ行き・・・、

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TV塔から市内を一望。

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あくる日は快晴に恵まれ、電車に乗ってEsslingenの街へ。

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いかにもヨーロッパな街並みを見て、やっと少しずつ、自分たちが異国へ来たのだという実感が湧いてきたようす。
「まったく、安野光雅の絵本そのままだ」
と、長年、小さい本屋で本ひとすじに生きてきた父が言う。

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Stuttgartの街なかでは、ちょうどワイン祭り。
ずらっと並ぶにぎやかな屋台で、遅めの昼食。ウエイターのお兄さんも愛想がよくて、みんなよい気分。
二人とも、ワインを飲んで少しずつ長旅の緊張もほぐれてきたようで、「いかにも」なドイツ料理を元気に完食。

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翌日は、200kmほど離れた街、リューデスハイムからサンクト・ゴアールスハウゼンまでの、王道ライン川下り。
両親はもちろん、自分たちも初めて。
平日だったので船もそれほど混雑しておらず、快晴の天気も相まって、4人とも存分に満喫。
両岸に古城が並ぶ風景をのんびりと眺めながらの2時間は、ほんとあっという間。

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復路は、川沿いをリューデスハイムまで電車で一気に戻る。
行きは2時間、帰りはわずか30分。
有名な「つぐみ横丁」で、ボリュームたっぷりの昼食。

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ゴンドラで丘のうえに登ると、それはそれは雄大なライン川の眺め。

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毎日、天気がよくてすばらしい。
翌日は、再びStuttgartでのんびりと。
観光ズレしてないお気に入りポイント、Solitude城。

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約2年ぶりに再会した両親は、やっぱりその時間のぶんだけ、確実に歳をとっていた。
あたりまえだが、自分たちも同じように、そのぶんだけ確実に歳をとっていることに改めて気づく。

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波乱の人生を歩んできた我が両親。
若い頃はずいぶん反抗もし、勝手なこともやったものだけど、よく育ててくれたものだと思う。
そのおかげで、こうしていま、自分は幸せに生きていられる。
やはり、心の底から感謝せざるを得ない。

そんなふうに思えるようになったということは、自分も歳をとったのだ、ということだろう。

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地元の人たちでいつもにぎわっている、ウチの近くのビアガーデンで一杯。

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平日の夕方にもかかわらず、それなりににぎやかなのは、さすが。

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翌日は、超定番スポット、ノイシュバンシュタイン城へ。
ちょっとどんよりとした天気だったけれど、こういう雰囲気も幽玄でなかなか悪くない。

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1/3ほど修復中で足場が組まれていたのは少し残念だったけど、内部も見れたし、マリエン橋からはキレイに見えたし、十分堪能してもらえたようだ。

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ヴィース教会も抜かりなく。

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その翌日。
早朝にStuttgartを離れ、一路クルマでオーストリアはグロースグロックナーへと向かう。
400kmほどのロングドライブだ。
途中、国境近くのローファーという小さな村の肉屋さんで簡単な昼食。
こぢんまりしてかわいらしい村だった。

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そして、久々のグロースグロックナー。
まさか、ここに自分の親を連れてくることになるとは思わなかった。
4年ほど前は、オートバイに乗って、その素晴らしさに悶絶していたのだ。

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こんなに毎日天気に恵まれたのは、実に幸運としか言いようがない。

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息子夫婦は、少し離れたところからカメラマンとしてせっせと写真を撮る。

いまどき、息子のお下がりのフィルムカメラを大事に使ってくれているのは非常にありがたいのだが、我が父、肝心のフィルムを入れ忘れたままバシバシとシャッターを押し続けていたことが三日めに発覚、母に猛烈に罵詈雑言を浴びせられた。

不憫なので、こうして息子がせっせと撮ってあげるのだ。

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その日はZell am Seeのこんなホテルに宿泊。
Zell am Seeの街は初めてゆっくりと歩いてみたのだけど、中東系の観光客があまりに多くてちょっと驚愕。

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最終日も文句のつけようがない空。
Zell am Seeからロープウェイでシュミッテンヘーエへ登ってみる。

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登って初めて気づいた。
あ、ここ、昔スキーで滑ったところだ。
おんなじ教会だ。

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最高の眺めは最高の思い出になるだろう。(と願う。)

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これで、いままでの親不孝の数々は、だいぶ清算できたかな。

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これからも、にぎやかにふたりでケンカしながら長生きしてくれ。