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写真は、2011年4月2日の我が家。

この写真を撮った翌日、ボクはドイツにやってきた。
例の震災の影響で、まだ我が家は断水状態のままだった。そんな中、ボクは慌しくこの家を出た。
それ以来、まだ一度も日本へ帰っていない。

我が家は、2007年2月に完成した。気がつけばもう、建ててちょうどまる6年が過ぎようとしている。
その間、ボクは2年間ほどミュンヘンに住み、一旦日本へ帰ったものの、またこうしてこんどはシュツットガルトで二度めのドイツ生活を送っている。
だから実質、まだ2年弱しかこの家に住めていない。なんてこったい・・・。

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ここStuttgartに移り住んで以来、ボクらは、こんな真っ白なアパートに住んでいる。
真っ黒な日本の我が家とは実に対照的だ。
ここに住み始めて、あと数ヶ月で2年が経つ。これまた早いものだ。

「自分の家」を建てて以来、ボクは、「住宅」というものに対して、ものすごく関心を持つようになった。
でもまさか、自分の家を建ててから、あちらにいったりこちらに行ったり、こんなふうに引越しを繰り返すようなことになるとは夢にも思わなかった。ましてや、海外になぞ。

けれど、何の因果か、ドイツという異国で暮らすという、自分にとっては貴重な体験を持つことができた(しかも2回も)おかげで、その「住宅」に関する考え方や知識の幅も拡げることができたことは、やっぱりよかったと思える。

我が家を建てた当初は、こんなふうに、文字通り、完全自己満足していたし、こんなふうに紹介されちゃったりもして、うれし恥ずかし有頂天にもなったりしていた。

でも、ところ変わればなんとやら、で。

ドイツの住宅に暮らしてみて、日本のそれとは、いろいろな面で違うものだなぁ、ということを実感。

家というものは、やっぱり、その土地に合ったカタチで進化する。
土地というのは、つまり、気候のことだ。

ドイツの夏は、気温自体は高いけれど、湿度が低いので不快な暑さにはならない。だから、ほとんどクーラーの必要性を感じない。あぁ、寝苦しい・・・、と感じる日なんて、年にほんの数日。
これは、ホントにすばらしい。

いっぽう、冬はやっぱり日本よりダントツに寒い。だから、ドイツの家は、基本的に冬の快適さを重視して作られている。
古いものはともかく、最近の建物はみんな、断熱・気密命!のような構造。

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まず、壁が厚い。いま、ウチの壁を測ってみたら、約34cmもあった。
ボクは建築家ではないので詳しいことはよくわからないが、明らかに通常の日本家屋よりは厚い。

窓も100%二重ガラス。で、ドイツではポピュラーな、「ドレーキップ窓」
たしかにこれだと断熱性、気密性は高そうだ。
壁面に対する窓の占有面積も、比較的小さい印象だし。

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そして、暖房。
最も多いのは、これ。温水暖房。
アパートや公共の建物のみならず、戸建て住宅でも一般的。
たいていの建物には地下室があって、温水を沸かす巨大なボイラーが設置されている。
燃料は軽油らしい。
以前、ミュンヘンで住んでいたアパートは、これと同じ原理で、温水が床下を流れる床暖房タイプだった。

これら重装備群のおかげで、なるほどなるほど、冬も実に快適。
たとえ外がマイナス20℃だろうが、家の中にいる限り、まったく平気だ。
しかも、24時間、あったかいまま。朝起きて寒さに凍える、なんてありえない。

地下室といえば、日本ではあまり一般的ではないけれど、こちらドイツでは一般的。
アパートのみならず、一戸建てにも地下室が設けられているところが多い。
たいていの場合、前述のボイラー室と洗濯室、それに倉庫などのスペースになっている。

先日、ドイツ人の同僚兼友人のお宅に遊びに行った。
すでに何回かおじゃましているのだけど、彼の家はリッパな一戸建て。
数年前に中古住宅を購入、徹底リノベーションしてまるで新築のよう。

彼もボク同様、機械好きで家にもこだわるヤツなので、当然、家談義にも花が咲く。
倹約家でもある彼は、雨水を貯めて、庭の草花や洗車に利用するシステムを昨年導入。
近々、古くなって燃費の悪い温水暖房ボイラーを、燃費のよい新型システムに置き換えるらしい。
さらに、近い将来、太陽光発電システムも導入する予定だという。
導入にかかるコストと、それをペイできる期間のバランスが、そろそろ彼のターゲット範囲に入ってきたらしい。
ちなみにこの家は、補助暖房かつインテリアとして、薪ストーブもきっちり備えている。
薪作りも自分でやっているので、なにかと話も盛りあがる。

エネルギーの使い方について、よく考えてるなぁ、と、いたく感心したしだい。

彼に限らず、ドイツ人は比較的、「住」に対する関心とこだわりが高いと思う。
庭作り、庭を含めた家全体の「魅せ方」についてもしかり。
これは、やっぱり見習うべきところだ。

さて。

いよいよ、ボクらもあと三ヶ月で帰国とあいなった。

そんなわけで、遠く離れた我が家に思いを馳せる今日このごろ。
留守にしていたこの2年で、いろいろ傷みも出てきていることだろう。
ドイツでのこういった経験も踏まえて、いろいろと手を入れていきたい部分もでてきた。

家は、建てて終わり、ではない。
建ててからが、ほんとうの楽しみ。

2年間、まるまるおあずけにしていた楽しみを、もうすぐ、存分に味わえる。
楽しみで仕方がない。

まずは、外壁のペンキ塗りから、かな。